業務効率化コミュニティ
2018年06月25日

例えば、請求業務。競争力強化に向けたアウトソーシング積極的活用
(株)セフィーロ 代表取締役社長 プリンシパルコンサルタント 峯村隆久

企業の競争力強化のために商品の魅力を高め、顧客や市場に伝えることが重要な時代となっています。そして社員の意識・努力を戦略上重要な業務に集中させるために有効なアウトソーシング推進の考え方について紹介します。

競争力強化への取り組みが重要な時代

インターネットの普及により、中国をはじめとした新興国の企業で最新の商品や技術情報が入手しやすくなり、先進国企業の商品と同様のものを短時間で開発・生産がしやすくなっています。また、新興国では日本と比較して人件費が圧倒的に安いので商品も安く生産ができます。
このため、日本を含む先進国企業はグローバルレベルで厳しい競争を強いられているという状況です。価格競争では勝てないという状況となっているため、日本企業が生き残り、成長を図る重要な戦略は、「顧客から見て魅力ある商品を提供し続けること」です。
その企業でしか提供できない魅力ある商品であれば、価格が高くても顧客から選択してもらえるようになることが必要なのです。

競争力強化のために集中すべき業務

これまでは商品開発部門や経営者が主体的に商品の開発・改良を行うことが一般的でしたが、これだけ競争が厳しい時代では、これまでのように一部の人の知恵だけでは「顧客から見て魅力ある商品」「価格が高くても購入したいと思う商品」を出し続けることは難しくなっています。
これまで以上に顧客や市場のニーズや競合の動向などの情報収集力を高め、集めた情報を企業内で共有し、部門にこだわらずに多くの社員が知恵を出せるようにするとともに、部門間の柔軟な連携をできるようにして魅力ある商品を市場に提供できるようにしていかなければなりません。
具体例でいうと、営業部門ではこれまで以上に顧客ニーズの収集を強化すべきですし、開発部門との連携も強化して、迅速かつ柔軟な開発ができるようにするということです。加えて、魅力・価値創造のための情報共有のしくみづくりや提案力や創造力強化のための人材育成、部門間連携の活性化のための環境づくりも重要となっています。

アウトソーシングの積極的な推進の意義

このように「商品の魅力を高めること」「商品の魅力を顧客や市場に伝えること」に関連する業務に社員の知恵と努力を集中させたい状況では、そのための時間的・精神的な余力づくりが必要となります。そして時間的・精神的な余力をつくるために最も有効かつ短期間で実現できるものがアウトソーシングの推進です。
この際、安易にアウトソーシング対象業務を決めてはいけません。「商品の魅力を高めること」「商品の魅力を顧客や市場に伝えること」との関連性の距離感(実際には感覚的になります)で判断し、距離感の遠い業務をアウトソーシング対象とします。
また、時間的・精神的な余力づくりという点でいうならば、業務量としてのボリュームがなければアウトソーシングの効果は小さくなってしまいますから、業務量の大きいものを優先的にアウトソーシングを推進していくことが重要です。
この2つの判断基準で見たときに請求書の作成、印刷、封入、発送といった業務はアウトソーシング対象となる最も代表的な業務だといえます。請求書は顧客がすでに商品を購入していただいた後の処理ですから、「商品の魅力を高める」という点で距離感が遠く、(事業形態にもよりますが)毎月、大量の件数を処理しなければならないボリュームの大きい業務だからです。

<プロフィール>
峯村隆久
株式会社セフィーロ 代表取締役社長
重機メーカー、経営コンサルティング会社を経て2013年に株式会社セフィーロを設立。
企業の競争力強化をねらいとした組織風土改革、業務プロセス改革、働き方改革、組織マネジメント改革などのコンサルティングや研修を数多く手がけている。
著書に「ホワイトカラー生産性向上活動実践マニュアル」(共著、日本能率協会総合研究所) 、「はじめの1冊!  オフィスの業務改善がすぐできる本」(共著、JMAM)などがある。