
請求書の電子化とは、請求書をPDFなどの電子データで発行・送付し、そのままデータで保存することです。
毎月の印刷・封入・郵送に追われながら、電子化に踏み切れずにいる経理担当の方は多い傾向にあります。
ここでは、請求書を電子化する方法と電子帳簿保存法の保存要件、実務で確認したい注意点、取引先に断られたときの進め方まで、わかりやすく解説します。
紙で郵送していた請求書を、PDFなどで発行・配信し、電子データで保存する取り組みが、請求書の電子化です。電子化した請求書は、電子請求書とも呼ばれます。

郵便料金の値上げやテレワークへの対応を受けて、紙の郵送から切り替える動きが広がってきました。電子データでやりとりした請求書は、令和6年(2024年)1月から、データのまま保存することが義務づけられています。
具体的には、メール添付のPDFやWeb請求書サービス、EDI(Electronic Data Interchange)でやりとりした請求書が対象です。
一方で、紙の郵送や、紙で受け取った請求書を紙のまま保存すること自体が禁止されたわけではありません。
請求書を電子化して送付・配信する手段は、以下の3つあります。
| 1.PDFにしてメールで送付する | 2.Web請求書サービスで配信する | 3.EDIで請求データを連携する | |
|---|---|---|---|
| 発行側の作業 | PDFに変換してメール添付 | 請求データをアップロード | 基幹システムなどから請求データを連携 |
| 受け取り方 | メールに添付されたPDFを開いて保存 |
専用画面から閲覧・ダウンロード メール添付・郵送代行・FAXを選べるサービスもある |
取引先の基幹システムにデータが取り込まれる |
| 保存要件への対応 | ファイル名のルールや検索できる状態の維持は自社での対応が必要 | 取引年月日・取引金額・取引先の検索要件に、サービス側が対応 |
電子取引データとして扱う 送受信の履歴が残せる |
| 向いている企業規模・発行件数 | 月あたり数十通程度まで | 発行件数が多い企業 | 特定の取引先と大量・定型のやりとりがある場合 |

請求書をPDFに変換してメールに添付する方法です。会計システムから出した帳票をそのまま送れるため、新たなしくみを用意せずに始められます。
ただし、件数が増えると、宛先の取り違えや添付漏れが起きやすい点に注意が必要です。ファイル名に日付・取引先・金額を入れ、検索できる状態を維持する運用も自社で担うことになります。
月あたり数十通程度までなら現実的な方法ですが、数百通規模になると、Web請求書サービスへ切り替える企業もあります。
発行件数が多い企業に適しているのは、Web請求書サービスでの配信です。請求書データをアップロードすると、取引先ごとに自動で分割・配信され、未開封の確認や催促、検索要件への対応もサービス側に任せられます。
Web送信だけでなく、メール添付・郵送代行・FAXも使えるサービスであれば、同意しない取引先には紙での送付を残せる点が利点です。

eco Deliver Express(エコデリバーエクスプレス)では、Web送信・郵送代行・FAX配信など5通りに対応し、請求書のほか納品書や支払通知書も配信できます。
取引先の基幹システムと請求データを直接連携するしくみがEDIです。
人が読むPDFやWeb画面と違い、EDIはCSVやXMLなどシステムが取り込めるデータを渡します。受領側は金額の転記や目視照合を減らせる点が利点です。

請求データを連携する際、データ項目の調整に手間がかかるため、EDIを導入できる取引先は限られます。EDIは、大量・定型のやりとりがある取引先に限定し、それ以外の取引先にはメール添付やWeb配信を組み合わせる運用なら無理なくはじめられるでしょう。
請求書の電子化によって、業務の進め方が変わります。具体的には次の3点です。

紙で対応していた請求書の発行業務がオンラインで完結します。これにより、業務スピードの改善や人件費削減が期待でき、経理担当者の多様な働き方にも対応しやすくなります。
電子帳簿保存法では、保存方法が3つの区分に分かれています。請求書は複数にまたがるため、自社の運用がどれに当てはまるか確認が必要です。
| 区分 | 任意/義務 | 請求書での該当 |
|---|---|---|
| 電子帳簿等保存 | 任意 |
会計ソフトの帳簿・決算書類 紙発行控えのデータ保存など |
| スキャナ保存 | 任意 |
紙で受け取った請求書 紙で発行した控えを読み取って保存する場合 |
| 電子取引データ保存 | 義務 | メール・Web請求書サービス・EDIなど電子データでやりとりした請求書 |
電子データでやりとりした請求書は、電子取引データ保存の対象です。紙での郵送そのものは禁じられていないため、紙で受領した請求書や控えは、スキャナ保存または書類として保存できます。
電子データでやりとりした請求書をデータのまま保存するためには、真実性の確保と可視性の確保の2つの要件を満たす必要があります。
要件をすべて満たすのが難しい場合、猶予措置も設けられています。所轄税務署長が相当の理由を認め、調査時にダウンロードや出力書面の提示・提出に応じられれば、要件未充足でもデータのまま保存できます。
事前申請は不要ですが義務の免除ではないため、印刷してデータを削除する運用は認められていません。
真実性の確保とは、保存した請求書データが受け取ったあとに書き換えられていないと示す要件です。次の4つのいずれかを満たす必要があります。
タイムスタンプや専用システムを使わない場合は、国税庁の事務処理規程のサンプルを基に自社に合わせた規程を作成し、運用することも可能です。
可視性の確保とは、保存したデータを税務調査などの場ですぐに提示できるようにする要件です。満たすべき内容は、以下の3点あります。
専用システムを使わない場合でも、ファイル名に取引年月日・取引先・取引金額を記載し、表計算ソフトで索引を作成する方法で、可視性の要件に対応できます。
ただし、件数が増えるほど運用負荷が高まるため、発行通数が多い企業では、検索機能を備えたシステムで運用するほうが現実的です。
検索機能を備えたシステムで運用する場合は、あわせて電子取引データの保存期間にも留意が必要です。法人は原則7年、欠損金の繰越控除を受ける事業年度は最長10年と定められているため、システムを導入する際は、この保存期間に対応しているか確認します。
法律上の保存要件を満たしていても、実務の観点が抜けていると、運用開始後に想定どおり進まないことがあります。導入前に確認しておきたいことは次の3点です。
請求書への押印に法的な効力はなく、印鑑がなくても請求書として有効です。したがって、請求書の電子化で印鑑をなくしても、取引そのものに支障は生じません。
しかし、取引先側の社内規程によっては、印鑑のない請求書は支払処理できないと定めている場合があり、電子化後に支払処理が進まないことがあります。
電子化の案内を出す前に印鑑の要否を確認し、押印が必須の取引先には紙での発行を残す運用が実務に合った進め方です。
紙の請求書を郵送する場合は、宛先を個別管理していることが多く、得意先や仕入先コードと送信先が一致していなくても運用できていました。そのため、電子化後は、次のような課題が発生することがあります。
サービスの選定段階では、上記のような運用を想定して対応可能か確認することで、導入後の手戻りを減らせます。
海外の取引先へ請求書を送付している場合は、帳票フォーマット・言語・通貨などが国内向けと異なる点に注意が必要です。サービス側でフォーマットを柔軟に変更できるかを、導入前に確認しておきましょう。
海外向けの件数が少ない場合は、国内分だけ電子化し、海外分は手作業のまま残す切り分けも方法のひとつです。月次の業務として続けられるか、担当者変更後も維持できるかまで見極めておくと、導入後の手戻りを減らせます。
請求書の電子化は、取引先の同意を前提に進める必要があります。ここでは、請求書の電子化を取引先に拒否された場合の対処法を解説します。
時期を置いて電子化の案内を続けることが、電子化率(電子化に同意した取引先の割合)を上げるためには大切です。
独立系調査会社ITRによると、令和5年(2023年)度の「電子請求書受取サービス」市場売上は前年比82.0%増で、市場は好調に推移しています。
出典:株式会社アイ・ティ・アール「ITRが電子請求書受取サービス市場規模推移および予測を発表」
受取側のデジタル化が進むほど、電子化に同意を得られる可能性も高まります。案内は一度きりにせず、継続的に送ることが有効です。
請求書の電子化を無理なく進めるためには、発行側が紙とWebを併用できる体制を整えることが大切です。
電子データでの受け取りに同意した取引先から順に切り替え、未同意の取引先には紙運用を継続することで、無理のない業務量の削減が期待できます。

eco Deliver Expressでは、Web送信・メール添付・郵送代行・FAXなどを使い分けられ、電子化案内の郵送代行にも対応しています。紙とWebを併用した段階的な切り替えができる手段のひとつであり、こうした進め方が、電子化率の向上につながります。
請求書を電子データで発行・送付し、そのまま保存する取り組みが、請求書の電子化です。
電子化に向けてサービスを導入する場合は、印鑑・発送先・海外向けフォーマットを事前に確認し、取引先への同意を得ながら紙とWebを併用して進めましょう。
eco Deliver Expressでは、「はじめやすさ」を一番に考え、Web送信やメール添付での送信はもちろん、未同意の取引先には郵送代行やFAX配信で対応可能です。
下記資料では、具体的なサービスについて解説しております。請求書の電子化をご検討の場合は、ぜひご覧ください。