業務効率化コミュニティ
2018年08月20日

請求書の電子化はオフィス職場の業務改善に必ず効く特効薬
(株)セフィーロ 代表取締役社長 プリンシパルコンサルタント 峯村隆久

オフィス職場での業務改善は、製造部門と違って改善がやりにくいため、その特徴をしっかりと理解したうえで、成功のためのポイントをおさえた活動をすることが大切です。このポイントを理解すると請求書の電子化の重要性が見えてきます。

オフィス職場の業務の特徴

KAIZENという言葉はグローバルの用語となっているくらい日本企業の改善活動は活発でしたし、その有効性が認められています。ただし、改善活動が活発に行われていたのはメーカでかつ製造部門がほとんどで、実は製造部門以外の改善活動は活発とは言い難い状況です。
製造は、製品の変化や作業者の動作など「業務が目で見える」ことから改善がしやすく、また量産なので「繰り返し行う業務」ということから1つの改善成果が量産の繰り返し分大きくなるという特徴があります。これが製造部門での改善活動が活発に行われていた理由です。
一方、オフィス職場の業務は、情報を扱うことが主体のため「目で見えにくい業務」であること、また行うべき業務の種類がさまざまで、ほとんどの業務は発生頻度が少ないという特徴があります。
オフィス職場では職場全体で100以上の業務の種類を担っていることが一般的です。当然ながらそれぞれの業務は別の業務なで、個別に改善を進めなければなりませんが、「目で見えにくい業務」ですから改善のための手間もかかりますし、スキルも必要になってきます。
また、業務の発生頻度が少ないので1つの改善成果はそれほど大きいものにはならないのです。

業務改善を成功させるためのポイント

このようにオフィス職場では業務改善の難しさがあるので、次の3つポイントをしっかりと押さえた取り組みをすることが重要です。
①成果が見込める業務を重点的に改善する
②できるだけ手間やコストをかけずに改善を行う
③1人でも多くの担当者が業務改善を継続的に行えるような体質をつくる
そして、このポイントを押さえた業務改善の基盤づくりとして業務を客観的にとらえることのできる状況をつくることが必要です。
まず部門として行うべき業務の一覧表(業務棚卸し表)を作成し、業務量調査を実施して業務ごとに誰がどのくらい時間を費やしているかを定量的に把握できるようにします。業務量調査はさまざまな方法がありますが、担当者ごとに「1回あたりの時間」と「業務を行う頻度」を設定し、全体を集計して業務ごとの年間業務量を算出します。

改善対象として優先すべき業務と代表的な改善策

求めた年間業務量をベースとして業務量の大きい業務を優先的に改善対象とすることが「成果が見込める業務を重点的に改善する」ということです。
多くの企業で優先的に改善すべき業務として共通にあがるものが、契約管理に関する業務と、請求に関する業務です。これらは毎月発生し、しかも処理件数が多いので業務量が大きくなるからです。
ただし、契約管理の場合は契約ごとにその内容が異なるので改善のしやすい業務とは言い切れません。請求に関する業務は金額さえ確定すればそのあとの請求書の作成、印刷、封入、発送とほぼ1つのパターンでの処理となるので、改善しやすい業務です。業務量が大きく、改善しやすい業務ですから最優先の改善対象業務となるわけです。
請求書処理の改善策として最も成果が見込めるのが請求書の電子化です。大量の請求書の印刷と封筒への封入作業の時間がほぼゼロになり、発送もメール等で瞬時に行えるので、大きな改善成果が得られます。さらにクラウドサービスの活用した請求書の電子化をすれば、改善そのものの手間も最小限で済みます。
このように、請求書の電子化は最初に取り組むべき改善の代表ともいえるので、請求書の発行件数が多いにも関わらず、今でも請求書を紙で作成し、封入、発送を手作業で行っているならば、企業としての改善体質に問題があるかも知れません。