業務効率化コミュニティ
2018年11月05日

働き方改革! 請求業務のアウトソーシングは有効か?

最近は「働き方改革」に取り組んでいる企業が増えていますが、本質的な成果が得られている企業は少ないようです。働き方改革の取り組みの難しさを理解したうえで効果的な取り組みとは何かを理解しておくことが重要です。

昨今の「働き方改革」の事情

コンサルティング業界では、「働き方改革」という言葉は昔から使われていましたが、最近では耳にしない日がないくらい一般的な改革になっています。このきっかけとなったのは、2015年10月に発足した第3次安倍晋三改造内閣で1億総活躍社会の実現を目指し「働き方改革」を重要施策に掲げたことです。
少子化と団塊の世代の定年退職という背景から、労働人口の減少が見込まれ、これによる日本全体の経済力の低下が懸念されています。この対策として女性・高齢者・障害者がこれまで以上に働きやすい環境をつくり、働く意欲のある人は働ける社会を実現しようとしたわけです。
その後、ある企業の社員の自殺が社会的な問題となったことから長時間労働を強いる企業に対する社会的な目が厳しくなりました。この流れを受け、労働基準監督署も企業に対する監督指導を厳しく行うようになり、企業としては労使協定違反が発生しないように長時間労働への対策を講じる必要に迫られているわけです。
このような流れから昨今の働き方改革というと「長時間労働の是正」を意図しているケースがほとんどです。

長時間労働是正のための働き方改革の難しさ

長時間労働の是正のためには、1人あたりの業務量(業務をしなければならない時間)を減らして時間外労働の削減につなげる必要があり、代表的な対策は「受注抑制による仕事量の削減」「人員増による1人あたりの仕事量削減」「生産性向上による業務時間の短縮」の3つがあげられます。
「受注抑制による仕事量の削減」という対策は、顧客の注文を断ることですから顧客との信頼関係を悪化させることになりかねません。顧客との信頼関係は企業経営において最も重要な要素であるため、ほとんどの企業はこの対策は選択できません。
「人員増による1人あたりの仕事量削減」という対策は、人件費増加につながるため経営者にとっては別の対策を優先しようと考えますが、短期間での長時間労働是正が必要ならば、人材採用を増やすことになります。ところが労働人口の減少が背景にあるので、人材採用を増やすことが容易でなくなっています。
「生産性向上による業務時間の短縮」という対策は、業務改善によって業務時間の短縮しようというものですが、働く人たちが長時間労働を強いられている中で、業務改善の活動を行う時間を確保することも難しいという状況です。

最初にアウトソーシングを推進する

長時間労働是正のための代表的な3つの対策がすべて選択しにくい状況で、確実に時間外労働を減らすための対策があります。それがアウトソーシングの推進です。
アウトソーシングの推進は、生産性向上のファーストステップと位置づけて活動します。つまり、一部の業務でもアウトソーシングできれば、業務改善活動の時間も確保できるようになるので、次に本格的な生産性向上のための改善活動に展開していくのです。
当然、アウトソーシングを推進する時間的余裕も少ないので、「業務量が大きそうだ」「手順が複雑でない」という視点で対象業務を選定しアウトソーシング先を見つけます。
人手不足の時代なのでアウトソーシング先も見つけにくいことも多く、クラウドサービスによるアウトソーシングが理想的です。例えば、請求書発行や発送業務のアウトソーシングなどが考えられます。